とりあえずPOV-Rayを動かしてみて、どんなもんだろうか試してみます。
起動するとごちゃごちゃポップアップメッセージが出て来ますがすべて"OK"で流しておいてください。すでにPOV-Rayに関する文章がいくつか開かれているので、これらを閉じます。メニューからFile>>Close Allをクリックすると開かれている文章がすべて閉じられます。
まず新しいファイルを作成します。上部左側のNewアイコンをクリックして新しいファイルを作ってください。
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空のファイルの状態でとりあえずセーブします。File>>Save Asで名前を付けて保存します。先ほど作った"POV"フォルダに"first.pov"として保存してください。
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まず何かレンダリングしてみようということで、とりあえずfirst.povの中に次のコマンドを書いてみます。アルファベットの大文字と小文字、{}大カッコや<>不等号に気を付けて書いてください。
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書き終わったらエディタ上部のRunアイコンをクリックしてください。ファイルを保存するか訊ねるメッセージが出るのでYesを選んでおいてください。その後すぐにレンダリングが始まります。
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コマンドが正しく書かれていれば数秒でレンダリングが終了します。ポップアップウィンドウのなかに右のような画像が現れたら成功です。レンダリングが始まらない場合はコマンドを正しく書けていない可能性があるので見直してみてください。またこのレンダリング結果はfirst.povと同じフォルダにbmpファイルとして保存されています。
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次に各コマンドについて説明します。
最初の1〜2行目では、インクルードファイルというものをこのファイルに取り込んでいます。1行目の"colors.inc"は、11行目や17行目のWhiteやRedを使えるようにするもので、2行目の"shapes.inc"は15行目のSphereを使えるようにしています。インクルードファイルを取り込むことで、本来はもっと複雑な手続きを要する作業を簡易化することができます。
3行目や8行目などは空白になっています。これはコマンドを見易くするために空けたもので、実際には空けても空けなくてもよいものです。POV-Rayのシーン記述言語は、C言語の文章作法に似ていて、書き方に自由度があります。この中では使っていませんが、コメント行にはC言語と同じく//や/* */が使えます。
4〜7行目はカメラの設定です。写真撮影にカメラが必須なように、POV-Rayでもカメラを設定しなければレンダリングエラーになります。5行目のlocationでカメラの位置を三次元の座標で定めています。x,y,z(左右、上下、前後)をそれぞれ0,0,-5と設定しました。6行目のlook_atでカメラの向きを指定します。例では、カメラはx,y,z=0,0,0の方向を向いています。
9〜12行目のlight_sourceでは光源を設定しています。これも写真撮影のときに明かりがなければフィルムには何も映らないのと同じで、光源を設定しなければ何も見えません(自ら発光している物体などはレンダリングされます)。10行目で光源の位置を、11行目で光源のカラーを設定しています。カラーは本来、color <1,1,1>(R,G,Bをそれぞれ0.00〜1.00で表す)というように設定しなければなりませんが、colors.incをインクルードしているので、このファイル内では白<1,1,1>をWhite、赤<1,0,0>をRedと記述することができます。ちなみに光源はカメラや物体からかなり遠くに配置することで、太陽光を再現できます。レンダリングする空間は、宇宙空間と同じようにチリ1つないので、光が減衰しません。fog(霧)などを配置することで初めて減衰します。
14〜19行目まではオブジェクト(物体)の設定をしています。Sphereはshapes.incをインクルードすることで使えるようになるコマンドで、x,y,z=0,0,0の座標に半径1の球を配置します。
16〜18行目ではこのオブジェクトのテクスチャ(表面の材質)を設定しています。色や模様だけでなく、表面の細かいデコボコや仕上げのツヤまで指定することができますが、ここではpigment(色の設定)だけを使っています。
ここまででPOV-Rayで3DCGを作る過程をざっと通しでやってみました。ここからはカメラやオブジェクトなど、各要素ごとに説明していきます。